5人が本棚に入れています
本棚に追加
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
俺たちはお互いに大きく伸びをしていた。ラジオ体操をしている訳でなく、長時間同じ姿勢でいたので体が固まってしまっていたからだ。
「はぁー、ようやく解放されたぜ……。しっかし何だったんだろうな?久」
「さあな。ま、疑いが晴れたんだからいいだろうさ」
お互いに言葉を交わす。そうしてお互いの顔を見て、疲れた顔ではあとため息をつく。
あ、そういえば寛が最近になって俺を久と呼ぶようになった。「仲良くなったから」とのことだが、どうも真意が読めない。
そんなことより、だ。やはり身内に疑われるのはあまり気分がいいとは言えない。まさか刑事になって”警察の取り調べ”を受けることになるなんて。
俺たちは数時間前にある取調室に呼び出されていた。首をかしげつつ俺たちがその部屋に入ると、そこに立っていたのは何度か顔を合わせている捜査一課第3係の高山良士警部補、そしてその第3係の警部にして”氷の女”と畏怖される藤峰杏子さんがそこにいた。
すると藤峰警部が鋭い視線をこちらに向けながら俺たちを見ると、
『あなたたちの話は高山警部補から聞いています。私の事はご存知ですね?』
俺たちが表情を強張らせながら頷くと横から高山が、
『氷の女、超が付くほど真面目な”冷血才女”、年上の警部ですらたじろぐ威圧感で未だに独身43歳……』
『ちょっ!?何であなたはそういう余計な事を言うんですか!変な噂立ったらどうするんです!?』
『落ち着けよ警部殿。あんたの目の前の刑事たちが困惑してるぞ』
あ、と言い俺たちの存在に気づくと警部は咳払いして高山を一睨み。彼はおお怖いと苦笑しながらその後は黙る。どうやらこの2人、高山の方が年上のようだ。
『……話はずれましたが、あなたたちに来てもらったのは他でもありません。最近よく”怪奇事件に遭遇している”ようですね』
俺たちははい、と返事する。すると警部は近くにあった資料をパラパラとめくると、
『これから、いくつか質問させてもらいます。もちろん話したくない、答えたくないなら黙秘しても構いません』
俺たちは首を縦に振る。それからもう1つ、と警部は言うと、
『嘘をついたりして、何かを隠そうとしても無駄ですから。もしそうした場合、……”貴方たちに明るい未来は無い”とだけ言っておきましょう』
最初のコメントを投稿しよう!