遅過ぎた帰還

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遅過ぎた帰還

やっとの思いで辿り着いた時、全ては終わっていた。 立ち竦んだままの足は動かない。どんなに時間を経ても、俺の頭の中は空っぽのままだった。 俺は、間違えていたのだろうか? 見付けたもの全てを投げ捨てて、裏切り、恐喝し、さっさとこの地に戻っていた方が良かったのだろうか。 いや……それは断じて違う。見捨てられたあの孤島で俺は生きていく道筋を見付けたはずなのだ。 己を通すためなら非情も辞さないと覚悟したはずなのだ。 もし、もっと早く戻って来ていたなら。 俺はきっと志半ばである自分に悩みを抱き続けていた。視野を狭めたまま訳も分からず半狂乱になって力を奮っていた。 そして、そのまま散り行く生命に何の疑問を持つ事も無く誰かの脛に噛り付いていたのではないだろうか。 そんなものは嫌だ。何も進歩が無い。 過去の自分を悔いて、侮蔑して、もっと才能と力が有ったならなどという願望はもう通過したのだ。 考えるべき事は、今の自分に何が出来るのか。 鏡に映し出すのだ、生ける屍と化した俺の全身を。 俺という存在のこれからの生き方は修羅の島で決めた。後は道筋を固めるだけだ。 さあ、探すのだ。俺はまず何をすれば良い。この冷たい獄土を暖めるには、俺はどう動けば良いのだ。 最善の方法を実現させる力など俺には無い。限られた手札の中から最も正解に近いものをこの世界に突き付けるのだ。 さあ、選べ。 奪うのか、戦うのか、諦めるのか。 選べ、選べ、選べ─────
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