おもしろき こともなき世に おもしろく

　私たちに未来はあるのか――？

　そう問われれば『ある』と云う者が多いだろう。だってこうして実際に未来の自分からメールが届く時代となったからだ。

　今では誰もが皆、未来から届く自分からのメールを読みながら平穏豊かな生活を過ごしている。

　未来の自分から届くメールは一方的であり、こちらから未来に向けてメールを送ることなどはできない。内容は「これだけは絶対にやっておけ」といった警告文であったり、自身の幸せや大きな後悔など、その半生を長々と綴ったポエムであったり、宝クジの当選番号や万馬券の情報などをまとめた現金な内容であったり……と、人によって様々であり、そこに個性が出ているように思う。

　共通すべきことは、未来の自分から送られてくるメールを受け取った者たちは各々その内容を読むことで順風満帆な日々を送っているということだ。

　ああ、なんて面白味に欠けた人生なのだろう。捻くれ者の私はこんな世界を冷めた目で見下してしまう。

　約束された未来に向かって歩くだけの平和な世界。全員幸せ、全員笑顔、うん、十分に結構だ。

　しかし、これではまるで未来の自分に操られているみたいではないか――？

　そう、この世界はそんな予定調和の上に成り立った。私には生きる価値の見い出せない、とても "つまらない世界" である。