第1章

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「おう、おつかれ恭介。」 彼の名は柳原恭介。 頭も良く、顔も整っている。サッカー部のキャプテンで夢はシェフ。 僕とは本当に正反対の男だ。 「進路は決まったか?」 「いや、全然。テキトーにどこかの就職試験受けるよ。」 彼は本当に僕のことを心配してくれているようだ。 「そんなんじゃロクな人生送れねーぞ?なにか1つでもやりたいこと見つければいいのに。」 簡単に言うがそれがどんなに難しいことか。 こいつにはわからないだろう。 「みんながみんなお前みたいには出来ないんだよ。僕に構うなって。じゃあな。」 そう言い放ち、僕は彼の顔も見ずに家へと向かった。 少し言い過ぎたかもしれない。 だけど僕に何を言おうとも何も変わらない変える気もない。 何も好きなことがないから。 「...だだいま。」 恭介と別れてすぐに家に着いた。 リビングには向かわず真っ直ぐに自分の部屋に入る。 何もやることがない。 寝るか。 ベッドへ横たわろうとしたら階段を上る足音が聞こえてきた。 母親だ。 滅多に部屋には来ないのだが、なんだろう。 ガチャリ。 ドアを開けながら母は喋る。 「太郎、あなたに手紙が届いてたわよ。」
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