2人が本棚に入れています
本棚に追加
「おう、おつかれ恭介。」
彼の名は柳原恭介。
頭も良く、顔も整っている。サッカー部のキャプテンで夢はシェフ。
僕とは本当に正反対の男だ。
「進路は決まったか?」
「いや、全然。テキトーにどこかの就職試験受けるよ。」
彼は本当に僕のことを心配してくれているようだ。
「そんなんじゃロクな人生送れねーぞ?なにか1つでもやりたいこと見つければいいのに。」
簡単に言うがそれがどんなに難しいことか。
こいつにはわからないだろう。
「みんながみんなお前みたいには出来ないんだよ。僕に構うなって。じゃあな。」
そう言い放ち、僕は彼の顔も見ずに家へと向かった。
少し言い過ぎたかもしれない。
だけど僕に何を言おうとも何も変わらない変える気もない。
何も好きなことがないから。
「...だだいま。」
恭介と別れてすぐに家に着いた。
リビングには向かわず真っ直ぐに自分の部屋に入る。
何もやることがない。
寝るか。
ベッドへ横たわろうとしたら階段を上る足音が聞こえてきた。
母親だ。
滅多に部屋には来ないのだが、なんだろう。
ガチャリ。
ドアを開けながら母は喋る。
「太郎、あなたに手紙が届いてたわよ。」
最初のコメントを投稿しよう!