第1章

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手紙? 文通をするような友達はいないし、第一今時メールだろう。 「誰から?」 「書いてなかったわ。」 用件だけを伝えた母はそそくさとリビングへ戻った。 なんだろう。 手紙は茶封筒に入っていた。 何も書いてない封筒だ。 直接ポストに入れたのだろうか。 手紙の内容はこうだ。 "高校3年の佐藤太郎へ 突然の手紙に戸惑っているだろう。そして信じてもらえないだろうが、僕は12年後の君だ。30歳になった僕は君の想像通りの人間だ。それ以上に酷いかもしれない。フリーターの一人暮らし彼女なし。借金を抱えていて、借金取りに怯える毎日だ。" これが前半部分。 30歳の、僕からの手紙? 当然信じられないがこの字は確かに自分の字だ。 自分の字ははっきりとわかる。 しかもこの未来。 やはり僕なのか。 "そんな僕が君にこの手紙を送った理由。それは、君に未来を変えて欲しいからだ。こんな貧乏で糞みたいな人生から救ってくれ。 30歳の佐藤太郎より" 手紙の本文はここで終わっていた。 未来を変える? 一体どうやって? 封筒の中には手紙の他にもう一枚入っていた。 その紙を見た瞬間体温が上がり鼓動が速くなった。
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