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こんなに興奮したのはいつ以来だろうか。
子供の頃に興味本意で虫を殺したことがある。
今まで素早く動いていたのにプチッと潰した瞬間、赤黒い液体が滲み動かなくなる。
不思議で不思議でたまらなく、何度も、何度も。
その時の僕は好奇心と興奮で溢れていた。
そして今の僕も、興奮している。
考えていた最悪で最低の未来。
未来の自分から教えられた予想通りの未来。
それが、消えた。
俺の未来は変えられる。
12年後の自分よ。
思い通りにしてやるぜ。
次の日も学校へは行った。
いつもと変わらない毎日を過ごす。
だが、今日から僕の明るい未来が始まる。
昼休みに廊下で恭介を見つけた。
「やあ恭介、また会ったね。」
恭介は軽く手を上げた。
「おう!太郎から話しかけてくるなんて珍しいな。なんかあったのか?」
「まあね。僕も自分の未来に夢見ることにしたよ。」
僕がそう言うと恭介は嬉しそうな表情をした。
「本当か!やりたいことが見つかったってこと?」
「まあ、そんなとこ。じゃあまたな。」
恭介と話した後は誰とも話さなかった。
教室にいても僕と仲良くしようなんて物好きはいないからだ。
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