第1章

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こんなに興奮したのはいつ以来だろうか。 子供の頃に興味本意で虫を殺したことがある。 今まで素早く動いていたのにプチッと潰した瞬間、赤黒い液体が滲み動かなくなる。 不思議で不思議でたまらなく、何度も、何度も。 その時の僕は好奇心と興奮で溢れていた。 そして今の僕も、興奮している。 考えていた最悪で最低の未来。 未来の自分から教えられた予想通りの未来。 それが、消えた。 俺の未来は変えられる。 12年後の自分よ。 思い通りにしてやるぜ。 次の日も学校へは行った。 いつもと変わらない毎日を過ごす。 だが、今日から僕の明るい未来が始まる。 昼休みに廊下で恭介を見つけた。 「やあ恭介、また会ったね。」 恭介は軽く手を上げた。 「おう!太郎から話しかけてくるなんて珍しいな。なんかあったのか?」 「まあね。僕も自分の未来に夢見ることにしたよ。」 僕がそう言うと恭介は嬉しそうな表情をした。 「本当か!やりたいことが見つかったってこと?」 「まあ、そんなとこ。じゃあまたな。」 恭介と話した後は誰とも話さなかった。 教室にいても僕と仲良くしようなんて物好きはいないからだ。
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