嫉妬

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____ねぇ、シゲ答えてよ 自身の部屋にシゲを押し入れそのまま覆い被さる 観念したように視線を向けてくる愛しいはずの恋人を俺は冷たい目で見つめているのだろう 「ドラマの撮影、どうだった?」 ムードもない言葉に一度聞き返した後、いつものように微笑んだ 「疲れた、」 そう、と素っ気ない返事を残して白い首筋を撫でた そのままシゲのシャツに手をかければやんわりと手が制してきた 「脱ぐ必要ねぇじゃん。」 嗚呼、いつの間にこんなにも華麗に嘘をつくようになったんだろう 俺の知らないうちに…か 「いいから」 手を退ける気配はなく珍しくキスを迫られた 普段はされるがままの舌が俺の歯をなぞるように動く。愛しい恋人の扇情的な行動に募るのは愛しさでも快楽でも無かった 「脱げよ」 普段と違う俺にいち早く気付いたシゲは抵抗してくる 力任せにシャツを開いた。飛んだボタンは冷たい床に打ち付けられる やっぱり。 右の鎖骨あたりに1つ首から胸にかけて2つの赤い痕 電話の男、シゲの態度、そして… 大切にしてきた。幾度も重ねた体を、心を傷つけないように 脆いガラスを両手で掴む子供のようだ。怯えていた逃げてしまう。隣に君がいなくなる恐怖に 「ねぇ、シゲ昨日の夜誰と何してたの?」 「ちがっ…違う、小山っ」 「何が違うの?聞いてるんだから答えてよ」 まだ俺が優しいだけの男だと信じてるの? つけられた赤い印を指先で結ぶ 違う、違うと口にするシゲを見下ろせば大袈裟に方を揺らして涙を流した 「廣川マサ」 「っ、うっ……やめて、もぅ嫌だ」 「自分がしたことでしょ?アイツが好き?」 体に聞いた方が速いのかもな、なんてどこかのAVみたいなセリフを吐きすてて 数度胸の突起を掻けばわかりやすく反応して、それがまた沸き立つ怒りを加速させた 肩を押す手を頭上に上げ、ネクタイで迅速に結んだ 下着ごとずり下ろし露わになったシゲ自身を躊躇うことなく扱いていく 「あっ…!いっ、や…はっなし、…離してよ!」 小山は優しいから。 ほんといい人だよね 絶対悪口なんて言わないし、怒りもしないでしょ? グルグルと称賛だけが響く 優しくもない、いい人でもない。 既に達したシゲは大きく呼吸しながら俺を見つめていた
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