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----- 2015/11/06 --------------------
9歳当時の僕は、祖父の書斎で大人向けの本を読むのが家での楽しみだった。
もちろん本の内容は難しすぎて、意味がわからなかった。
ある日、いつものように祖父の書斎に入ると、
机の上に見慣れない本があった。
紙が変色してボロボロで、古文書みたいでワクワクした。
中を見てみるとそれは、日記だった。
何かの旅の日記のようで、どこか目的地があって、そこを目指しているらしい。
一緒に冒険している気になり、次へ次へとページをめくっていくと、一枚のスケッチがあった。
キノコのスケッチ。
2つおかしな点があった。
一つは、あまりにもキノコが太陽を隠すほどに高く巨大であること。
もうひとつ、キノコの上に「大陸」が描かれていたことだ。
僕の冒険が始まった瞬間だった。
----- 2015/11/07 --------------------
薄暗い木造の小屋に、鼻に染み込むような油に臭いが漂っている。
作業着姿の女性が粗末な木製の椅子に腰掛け、
同じように腰掛けた男性と対面している。
「ずいぶんボロボロね」
女性は男性の左腕に触れながら、状態を確かめている。
男性の左腕は、金属製の義手である。戦闘用の。
「前に会ったのは一年以上前だからな。いくつも修羅場があった」
「ふーん、クナウギの樹脂が欠けちゃうなんて、どんな使い方したんだか」
男性の目つきが真剣になる。
「それなんだけどよ、この義手と同レベルのものは現存しないんだよな?」
「そうよ。これだって表面的な修理はできるけど、どうやって動いてるか完全にはわかってないんだから」
男性は、ふう、と一呼吸置き、さらに少し思案して。
「戦場で、これと同じのを付けてるやつに会った。しかも両手だ」
「・・・そいつとどこで会ったの?」
女性の目が、狂った科学者と好奇心旺盛な子どもとを合わせたような色になった。
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