週刊「まかない」 No.1

3/6
前へ
/6ページ
次へ
----- 2015/11/08 -------------------- 「さぁ!今年も始まりました"裸コロシアム"!」 マッスルシティの住民。彼らには特異な慣習があった。 年に一度、筋肉オーラで互いの精神を削り合い、誰が一番の「裸」を持つ者なのかを決定する。 そこにはただただ純粋な生き物としての存在を賭けた、戦いがあった。 「第一試合はこの二人だ!その胸筋で破った洋服は数えきれず!ドレスブレイカー!エドワード!」 「そして!垂直跳びで地面が陥没、人間クレーター!ジャイムス!」 青空と強い日差しの下、大歓声の観客が見守る円形闘技場で、男たちは向き合い、戦いのための呼吸を整えている。 全裸で。 ----- 2015/11/09 -------------------- 「パパー!これ見てー!」 そういって息子が私に見せてきたのは、小瓶に入った液体だった。 公園で出会った老人がくれたのだという。 淡い青の上品な瓶は香水を思わせるものだった。 「パパー!これ見てー!」 翌日、息子が私に見せてきたのは、薄黄色に輝く稲だった。 公園で先日の老人とまた会ったらしく、曰く稲に昨日の液体をかけると夢が叶うらしい。 「パパー!これ見てー!」 稲に液体をかけてみたところ、生き物の死骸のようになったらしい。 見ると稲が青黒く変色しており、何かの生き物の死骸のようだ。 これが夢を叶えてくれるのだろうか。 「パパー!これ見てー!」 そこにパパはいなかった。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加