憂等生の私のこと

7/19

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
気付けば、目が熱くなっていた。 零れ落ちる涙を、 必死で抑え込むのに落ちて落ちて仕方がない。 両手に貯めた水溜まりが 自分の情けない顔を映す。 すごく、くしゃくしゃだった。 けれど、すごく安心した顔だった。 だって、気づかなかったから。 私はつらいんだって。 私は、つらいと思っていいんだって。 人生にはレールがあると思っていた。 私のレールは、 なんでも完璧にこなせる人間というレール。 私はそういう人間として生きて、 そういう人間として嫌われなければいけないのだと そう思って生きていた。 だから、つらいとか思ってなかった。 それが当たり前だと思っていた。 だけど、 それをつらいと認識して良いのだとしたら。 自分は、「自分でなければいけない」 それをそんなことないって 誰かに、ううん、自分自身に言われて、 今までの私は何だったんだろうって気持ちと、 それを覆い被さる程の今までの私はこんなに頑張ってきたんだって気持ちが、 ぐるぐるぐるぐる、回ってる。 「わたし、よく、がんばった、ね。 えらい、わたしはいい子だ。 もう、つらいって思っていいからね?」 自分で自分自身を励ましてみた。 声が、どうしても震えてしまっていた。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加