第壱話『ライブジャック犯は、ゴスロリ少女!?』

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 もちろんステージで歌っていたのは私。同好会のボーカリストで、部長を務めている。同好『会』なのに、どうして部長なのか? 会長だと生徒会長のように聞こえるから、同好会でも部長にしなきゃいけないらしいからだ。  それはさておき。一曲目を歌い終えた直後に突如として出現した、謎のライブジャック犯たち。一体、何者なの? 「はい、みなさぁん。注目ぅ☆」  オカマは私から奪ったマイクを握りしめ、喋り始めた。そこ、小指立てるのやめて! 「これから、とぉ?っても楽しい、ショータイムのはじまりよぉ☆ 準備できたぁ?」 「バッチリ」  オカマが後ろを振り向くと、シンセサイザーを鳴らし、準備オッケーと親指を立てている小柄な男がいた。シルクハットにギラギラとした白銀のスーツ姿で、派手ではあるが紳士的にも見えた。 「ちょっと待って」  ステージの隅っこで、野太い男性の声が聴こえた。照明スタッフと何か打ち合わせしている。一見ナイスバディで綺麗な女性のように見えたが、今の声からするに、この人もオカマっぽい。  というか、なんで照明スタッフや、学院祭実行委員、さらに生徒会まで、ライブジャック犯の言うがままに動いているの!? 「宮代はああぁん、もう少ししたら解放してくれるって。それまで辛抱してやー」  いつの間にか逃げていた、ギター担当の空木さんが、ステージの下から叫んでいた。 「これ、どういうこと? 生徒会が承認してるって? はぁ!?」  ステージの下で、同じく逃げていたベース担当の岡田さんが、生徒会役員に向かって激しく抗議していた。  抗議の相手は……生徒会統括上級副会長の五十嵐(いがらし)さんだ。この学院で実務における生徒会トップクラスの人だ。 「彼らは生徒会総会長の承認を得ているわ。総会長直々による承認を覆すことはできないの。どのみち、あなたたちの演奏時間は、もう終わっていたけどね」 「たった一曲で!? 納得できないわ!」  岡田さんが激しく抗議をしていた。がんばって! そして、はやく私を解放するように言って! 「だって、ポピュラーミュージック同好会は解散したのでしょう? 解散した同好会に割り当てるステージなんて無いわ」 「なっ!? か、解散!? そんな話聞いてないわよ!」 「廃部届けが受理されているのよ。ほら、総会長のサインもあるし。廃部日時は、さっきの演奏終了時刻」
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