第壱話『ライブジャック犯は、ゴスロリ少女!?』

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「よかった、ありがとう。あ、やっぱり、首を傾げてる人もいますね……え、どうして、キリスト教と関係あるのかって?」  私は知っている。アリスロイド・ガールズ自体は創り話なんだけど、十五世紀の中央ヨーロッパで起きたフス戦争を発端とした物語なのだ。  ざっくりと概要を説明すると、当時史実によれば、キリスト教はフス派(プロテスタントの前身みたいなもの)とカトリック派で対立し、戦争をしていた。  フス派は当時画期的な新戦術を用いて、カトリック派を圧倒した。最終的にフス派は全滅するんだけど、起死回生の兵器として、フス派の最後のリーダーが、錬金術士を名乗る男に死なない兵士を作らせた。  これが当時のアンドロイドで、後にアリスロイドと呼ばれるようになる。もちろん創作の設定で、そんな事実は見つかっていない。今のところ。  様々な経緯を経て、八体のアリスロイドが現代に蘇り、生みの親であるパパ(錬金術士のこと)の行方を追って、アリスロイド同士で戦うことになる。これがアリスロイド・ガールズの概要だ。 「その内の一体、零式プルーンが、個人的に大好きで、とうとう衣装まで作ってしまいました。それで着る機会を探してたんです」  私の説明と全く同じ内容で、丁寧に説明してくださったエレナ様が締めくくる。クールなエレナ様に、プルーンの衣装が最も似合ってることは認めざるを得ない。  ちなみに私が好きなのは、二式クランベリーと、六式ブルーベリーだ。双子みたいな関係で、親友のように仲がよくて、とっても可愛いのだ。 「次の曲は、せっかく、薔薇のゴンドラに乗ってきたので、薔薇の曲を用意してみました」 「薔薇三昧頌歌(ばらざんまいしょうか)」  ♪・♪・♪・♪♪?♪♪・♪♪・♪☆ ♪・♪・♪・♪♪?♪♪・♪♪・♪♪・♪♪☆ 「♪薔薇のアーチ♪ ♪くぐり抜けて♪ ♪薔薇の城♪ ♪築くの♪」 「♪アルキメデスの叫びユリイカ♪ ♪ロゼットに咲き誇る伊豆の踊子♪」 「♪可憐なルチェッタ♪ ♪繊細なピエール・ドゥ・ロンサール♪」 「♪優雅なフィリスバイド♪ ♪幻想のバビロンローズ♪」 「♪甘い誘惑ハニーブーケ♪ ♪赤い情熱ロサ・キネンシス♪」 「♪ヨハンに捧げよゲーテローズ♪ ♪美貌のベルロマンティカ♪」 「♪青い涙のレイニーブルー♪ ♪ハインリッヒが夢みたノヴァーリス♪」 「♪薔薇の城下に 咲かせましょう♪』
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