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曲が鳴り止むと、盛大な拍手が場内を賑わした。私も手が痛くなるくらい夢中で拍手する。
「もう一曲、薔薇の歌いきます。『薔薇庭園夜想曲』」
♪☆・♪☆・♪♪♪・♪・♪?♪♪・♪☆・♪♪♪・♪・♪・♪?♪♪☆・♪・♪♪・♪♪♪
「♪満月の夜に♪ ♪蒼き光捧げる♪ ♪薔薇の庭園♪」
どちらも初めて聴く曲だったが、絶対少女聖歌とはまた違ったエレガントな曲調に、ユニークな歌詞が乗った、聴いていて気持ちのいい歌だった。
エレナ様が歌っている間、二人のオカマのダンサーが、ステージの周囲で優雅に、時には怪しく、バラエティ豊かな踊りを披露した。
見た目とは裏腹に、超一流を思わせるレベルの高いダンスで、見ていて飽きない。
♪・♪・♪♪・♪♪?♪♪・♪♪☆♪♪☆・♪♪♪?♪♪・♪♪・♪・♪♪?♪♪・♪☆♪☆
あっという間に、二曲とも終わってしまった。これやばい、もっと聴きたい!
「最後に、本日のライブジャック犯を、紹介します。ぴょこぴょこ踊っていた、ダンサーのピョコ蔵!」
「違うわよ! 私の真名はシャーリプトラ・アルテミスよ☆」
「長いから、ピョコ蔵にしましょ」
「ひどいっ!」
エレナ様とピョコ蔵さんの掛け合いが面白くて、場内から笑いと、賛同の拍手が鳴り響いた。
「もう一人、ダンサーのアッサムティ!」
アッサムティと紹介されたダンサーは、軽くお辞儀をしただけで喋らなかった。無口キャラなのか、シャイなのか。
「バイオリンを演奏してくれたのが……」
バイオリンを演奏していた二人は、ダンサーと違って普通の名前だった。どちらもお辞儀をしただけだったが、とても紳士的な感じだった。
「キーボード、椎名ショウ!」
両手を挙げて観客へ手を振った後、椎名ショウさんは、シルクハットの天辺からカエルのぬいぐるみを出現させた。
「その帽子に、そんな仕掛けがっ!?」
エレナ様がすごく驚いていた。本当に知らなかったらしくて、その様子が面白く、観客席からも笑い声が溢れていた。
「そして、ボーカル。都城エレナ」
最後に自己紹介したエレナ様。盛大な拍手が沸き起こった。
「今日は、ありがとう。次は学院の外で、お逢いしましょう」
ステージ裏へ退場していくマジゴシ御一行様。
「エレナ様!」
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