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「やっと、本当に安心させてあげられる」
「……っ」
目を開け、ふっと緩んだ景くんの顔を見た途端、胸が強く締めつけられた。
「今日の江茉はよく泣くね」
「今までずっと我慢してたんだから、いいの」
ぼろぼろと零れる涙を両腕を交差させて隠そうとするも、どこか嬉しそうな景くんにそれを剥がされ、不本意のふくれっ面をさらす羽目になる。
「可愛いよ」
「いいから、もう。続き、早く」
「はいはい」
甘ったるいセリフを吐きながら笑いを噛み殺す景くんを軽く睨みつけ、両足を腰に絡ませた。
「大胆」
「嫌いならしない」
憎まれ口でさえ、甘く聞こえてしまうのは何故だろう――
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