第1章

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『大丈夫だ、お前ならできる』  いきなり届いたメールには、そう書いてあった。今俺の隠れている場所は、二階視聴覚室。俺が今からしようとしているミッションは、窓の向こう側にある。 『お前誰だよ』  知らないアドレスに返信した。いつもは知らないアドレスなんて無視するのに、相手は今から俺がしようとしていることを、どこからか見ているのか……不気味だ。  キョロキョロと辺りを見渡してみたが、部屋の中には俺一人。 『一年後のお前だよ』  バカバカしいと無視しようとしたが、携帯が震える。 『いま、お前が何をしようとしているのか、あてようか??』  何なんだこいつは……本当に見られているんじゃないか。 『いま、見られているんじゃないかって思っただろ。残念、見てないんだなぁ、一年後のお前だからさ、お前の考えていること、これからすること、どうなるかぜーーーんぶ、知っているわけ』  俺はからかわれているのか?? でももし、それが本当のことだったら、そうだ、俺しか知らないこと……。 『問題です。俺の部屋にあるエロ本は何冊でしょう』 こんなこと俺しか知らない、誰にもわからないように、ちゃんと隠してある。親ですら、俺がエロ本を、今は使っていない旅行かばんの中に隠しているなんて、知らないはず。 『三冊、しかもクローゼットの旅行かばんの中に、今は着ていない洋服としまっているだろ。あとな、お前完全に隠してるつもりかもしれないが、お母さんは知ってるぞ』  な、な、なんだってーーーーーーー!!
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