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猫カフェを利用する客は近所に住む一人暮らしのお年寄りが多い。ランチタイムから夕方にかけて主婦層が訪れて、学校が終わる頃には学生も訪れる。
猫に興味がなくても訪れる客もいる。そういう客は大抵、千琉に何かしらの相談事を持ちかけた。
千琉は猫カフェの店主の傍ら、占いを商いとしていた。客の中には猫カフェの店主としてよりも占い師として千琉を慕う人もいる。
相談事はピンきりだ。さほどこじれていない相談事ならば頼まれればすぐに見る。けれども時々、生死をさ迷うほどの深刻な悩みを抱えて訪れる人もいる。
そういう相談事の仕事が入いる日はお店を閉めて他の客が立ち入れないようにしていた。
生憎、今日は占いの仕事はない。
「平和で何より……と言いたい所ですが」
千琉はそう呟くと雲で覆われた空を仰ぎ店に入った。
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