真衣の遺体

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「そうですね。今回は不思議なことがあり過ぎて、どこまであなた達に頼めるか分かりませんが、このままでは僕の占いが良くなかったと言われてしまう。それだけは阻止したいモノです」  空き家での出来事はもっと奇妙な事件になって騒ぎになっても可笑しくはない。  田沼さんは懐中電灯の灯りでしか真衣を見ることができなかった。警察が現れると母親が酷く怯えた。その為、一旦家に帰されて調書は数時間後に伸ばされた。  真衣の身元は直ぐに分かった。制服のポケットに学生証。遺体が病院に運ばれてしばらくすると父親である木葉畦道(コノハアゼミチ)が現れ、祈りを捧げた。  空き家で娘が亡くなっていたのだから父親である木葉畦道が殺人事件をも疑って良さそうなモノ。それなのに畦道は「自ら命を絶とうとは……」そう静かに言った。  最近、娘は可笑しな言動ばかりしていた。きっと悪魔に魅入られたのだ。その証拠がこのカードだ……そう言って学生証の間に挟まっていたタロットカードを指差した。志紀が千琉に見せた奇妙なタロットカードがそれにあたる。
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