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この辺りでは有名な神父でもある父親。畦道の意見を誰も否定することもなく、事件は早々に自殺と断定された。残念なことに、解剖をする前に厳格なクリスチャンということで取り止めになり荼毘に付され、何をして亡くなったのかは不明なままだ。
畦道が来る前に遺体を見た志紀は不思議に思ったという。外傷を見る為に捲った制服。その下に、できてさほど日は経っていない小さな痣と歯形のようなモノがチラッと見えた。
どこかにぶつけた……というよりもキスマークのように見えた。そう、志紀は隣に座る咲を気にし躊躇しながら言った。
それ以外、目立った外傷はなく着衣の乱れもない。志紀はため息をつくと何度も司法解剖ができなかったことをボヤいた。
ボヤいていたのは解剖ができなかったことだけではない。早々に自殺と断定されたばかりに現場検証もままならず捜査は打ち切られた。再捜査をしたくても多忙な為、他の刑事は気にも止めない。志紀は仕方なく時間の合間に一人、捜査を続けていた。
『先ずは、空き家に誰が行くか……よね?』
ルキアは自分を選んで欲しい……と言わんばかりに千琉の方を見つめた。
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