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「…天罰…?あいつらに…?」
もしもそれが本当なら…
ふと空を見上げると、夕方の空に白い三日月が薄っすらと昇っていた。
「雪白の三日月…」
私は一歩後ずさると、そのまま通って来たフェンスの隙間を抜けて帰ろうとした。
「待って!!」
ふいに腕を掴まれて、そのまま誰かに引っ張られて、フェンスに引っかかりながらもフェンスの内側に戻った。
「きゃっ!?え!?だ、誰!?」
ぎゅうっと抱き締められて、息も出来ない。
私を抱き締めているのは、制服と力強さから男の子だと解る。
「飛び降りなんて…自殺なんてしないで…」
「え…?」
「ゴメン…ここまで悩んでいたなんて、俺、知らなくて…気付いてあげられなくて…ゴメン…」
この声はよく聞く声だ。
そう。私のクラスの委員長の声だ。
何度か私を助けてくれた事もある。
「い…委員長…」
「ゴメン…もうこんな思いはさせない…!
だから、死なないで…!」
カァッと顔が熱くなるのが解った。
私は委員長を力の限り突き飛ばすと、「もう!死なない!」と叫んでそのまま逃げる様に家に帰ってしまった。
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