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「だったら、宮沢さんに教えて貰って、こちらの都合を聞いてからにしてもらえますかぁ? 勝手に会社の前で待たれても迷惑ですぅ 」
愛らしく笑顔を作ってはいるが、言っていることは辛辣だ。
甘ったるく伸ばした語尾でも隠せない拒絶に、国崎も何も言えなくなっている。
「じゃあ、私、用事があるのでごめんなさぁい。 今度また昨日のメンバーで集まるって話していたので、その時に会えるといいですね、国崎さん 」
暗に二人きりで会う気はないと言うと、真梨香は国崎を置き去りにして足早にこちらの方へと歩いてくる。
「あ、あの……っ、安倍さんっ!? 」
国崎に呼び止められても、振り向きもしない。
話を聞く気は無いようだし、取り付く島も与えない。
くららに追い付くと真梨香は、吐き捨てるように呟いた。
「……ったく、どうして教えなかったのか、そんなことも分かんないの? 」
ズキン……と胸が痛む。 同じ人に同じことをされても、こんなにも受け取り方が違うのだなぁとくららは思った。
空気がざらついて、喉が痛い。
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