第二章 俗に言う、前途多難かよ!

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カタン… 小さい音がした 恐らく常人では聞き取る事が出来ない程に小さいものだ だが、その場にいた全員が反応して振り向く 視線の先には一つの扉 扉はわずかに隙間があり、誰かがこちらを覗き込んでいた 誰、なんて考えなくても分かる 相手も注目された事で自分の存在が知れたのを察したらしく床をこすった音がした 後退りでもしたのだろう フ「チッ!」 舌打ちしたフローズンが素早く動く 扉に飛び付くようにして隙間を広げ、中にいた人物を引きずり出し、拘束してしまう 覗き込んでいた人物はもちろん、俺が部屋に連れてきて寝室に寝かせていた被害者の少年だった 「あっ…い、いや!」 フ「テメェ!どこから聞いてやがった!?」 「やだ!助、け…っ!」 彼が抵抗し、フローズンが床に押し付けて拘束を更に強くした とっさに俺は声を上げた 紫「やめろ!フラッシュバックする!」 「あっ…ハッ…ハッ…ぐっハッ…!」 しかし、すでに遅かった 離れていても分かるぐらいに少年の呼吸がおかしくなり、やけに間隔が短くなっている 舌打ちしたい衝動を抑えてフローズンを蹴り倒す勢いで退かし、少年の体を起こす 苦悶の表情を浮かべた少年は胸元のシャツを握り締め、涙目で短い呼吸を繰り返している 紫「過呼吸を起こしたか 少年、俺の目を見て 抱き着いていいから体をこっちに傾けて そう…上手だね」
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