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第三章:9月22日
≪日記を書きながら、うっかり寝てしまった。計画の為の準備が必要だと言うのに。私はよく失敗してしまう。日記を書く時間もいつも不規則だ。
今回も失敗してしまわないように気を付けないと。
そもそも、なんでこんなことを一人でしてるんだろう。それはそれだけ彼のしたことが許せないからだろうか?それとも、彼に私という存在の方が勝っているのを、しらしめたいからだろうか。わからない、わからない。≫
――僕はハッと目を覚ます。何か夢を見ていたような気がした。いつの間にか寝てしまっていたのか、下の階から親が帰ってきた音がする。先ほどの恐怖を忘れて、明りとりを兼ねて携帯で時間をみる。既に時間は24時を過ぎていた。
まぁ、両親が日付が変わってから帰ってくることは、よくあるから特に気にすることはなく。
寝る前までの恐怖心とやらは、一抹の不安を残しながらもすっかり、空気の抜かれた風船のように萎んでいた。
僕は優美に適当な相槌のメールを返す。そして、その直後にメールの着信が鳴った。「返信早すぎだろう」と呟きながら、メール画面を開くと背筋が凍る想いをした。
「おいおい……いい加減にしてくれよ」
メールを開くと恐怖が待っていた。
≪残り3≫
とだけ書かれたメールが届いている。
「何なんだよまったく」
その無機質な不気味さに、寝ている状態で僕は狼狽する。そして、怒りと恐怖が混ざったような感覚のまま身体を起こす。一昨日の朝や昨日の夕方の嫌な出来事が思い出される。それと同時に優美の「残機」という言葉も思い出してしまった。
「いやいや。まさかな」
数字が減るたびに、自分に何か災難が起こってくる。なんてどこの話だよ。でも、もし危険があるなら動かない方が良いのではないか。そんな風に手をこまねいていると、ドンッという音と共にゆっくりと家が揺れ始めた。
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