第三章:9月22日

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「地震か?」 部屋の明りを付けて部屋を見渡す。ゆらゆらと揺れるカレンダーが目に入る。そのカレンダーの揺れと比例して、揺れは激しさを増す。結構大きな地震だ。下の階にいる両親も家具を支えにか、バタバタと騒いでいる。 取り敢えず、呆けていてもしかたない。僕も倒れたら危なそうなものを探す。そして、椅子の直線状に置いてある本棚が目に入る。恐らく倒れたら大変かもしれない。そう考えて本棚が、倒れないように支えようと身体を起こす。それから転ばないように椅子に掴もうとした瞬間。 大きく前後に揺れたせいなのか解らないけど、本棚はグラッと傾いて、大きな音を立てながら椅子に刺さるように倒れる。仮にベットから動いてなかったとしてもぶつからなかったけど、椅子を支えに立っていたら危なかったかもしれない。僕は死の恐怖を感じた。胸の鼓動が高まり。血が逆流しているのではないかと思える程に脈打つ。僕の恐怖に比例して揺れは収まっていった。 揺れがおさまり。僕は恐怖に苛まれていても仕方ないと思って、本棚を元に戻す作業をしている。すると、両親が慌てたように僕の部屋に入ってきた。 「随分と大きかったけど――」 「本棚が倒れたくらいだから大丈夫、気にしないで」 「雄太。足震えてるわよ。本当に大丈夫なの?」 「だから大丈夫だって!本棚戻したら寝るから。気にしないで!」 こういう時ばかり、僕の安否を気にする両親に少し怒りを覚える。それなら小学校から片方は家にいてくれれば良い。中途半端な干渉は余計に僕の心に波を立たせる。 両親を追い出すように部屋から出ていってもらう。そして、落ち着く為に僕は本棚を戻して散乱した本を片づけた。 本を片づけながらも、あのメールについて考える。まだ信じられない気持ちがあるものの、3回中3回とも、最悪の場合に僕が死ぬか大怪我をする可能性がある時にこのメールは来る。 むしろ優美の言ったみたいに、メール自体が死へのカウントダウンなんじゃないのかと思えてくる。 地震なんて人為的に起こされてるものじゃない。悪戯に送ることも出来るわけがない。 いっそのこと、メールアドレスを変えたりメールを拒否設定にすればいいのかもしれない――僕はそう考えた。 ここまで着ているメールは全部同じメールアドレスだな。
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