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春人の横に座ると、昼食を摂ろうと春人に話しかけた。春人が気が付くと、前の席を占領するように優美も座る。
「また昼間っからそんな本読むなよ」
「あれ?雄太もこういう系の本好きじゃなかったっけ?」
「どんな内容なのよ」
「あー。ホラー系だぜ?割とグロイ」
「マジで二人ともキモイ!」
優美は笑いながらそう言うと、苦笑いする春人を叩く。同じ男子みたいに接する優美は、他の女子グループには入らずに、高校一年の時から僕たちとつるんでいた。理由を聞くとざっくばらんな彼女らしくて、女子とは相性が悪いという。しかし女子からは嫌われるどころか、バレンタインデーにチョコをもらう程の人気だ。それでもグループ間でのどうこうというのが好きになれないらしい。見た目がボーイッシュで、運動系の部活をやってるのもあるだろう。僕はそんな華々しい優美が時に羨ましく思える。
「なーに人の顔見てぼっとしてんの雄太。何か私の顔についてる?」
「あ、いやいや。本当ゲーオタがなければ――」
「しつこい!」
「え?優美ってゲーム好きなんだっけ」
「春人は本当忘れっぽいわね。私がどれだけゲーム好きか、授業してあげるわ!」
「えー……」
僕と春人は苦笑いを浮かべながら昼食を摂る羽目になってしまった。優美のゲームに対する熱は、並大抵のものではないらしくて、お昼休憩の時間を全て消費する程に、永遠としたゲームへの愛情を吐露した。
それは胃がもたれるくらいに。
おかげで昼食後に遊ぶ時間もなくて、午後の授業を受けることになってしまった。
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