第二章:9月21日

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春人が「原因をみてみるね」というので、携帯を渡して任せる。しばらくすると、春人は怪訝な顔を見せる。 「なんだよ。そんなおかしな理由でも書いてあるのか?」 「うん。メールアドレス自体が存在していないんだってさ。返信ボタンから返信したの?」 「そうだけど……え?怖い話とかやめろよ?」 「いや。もしかしたら質の悪い悪戯じゃないかな。ジョークメールならこういうのネット上にあるからね。日数以外に変なメールとか無言電話とか来たりしてない?」 「ないぜ。メールも昨日からだし、なんか恨まれるって覚えもないんだよなぁ」 「まぁ、恨まれる側って忘れてることが多いからね」 「おいおい、脅すなよ。なんかしたっけ?」 「いや。解らないけど。強いて言うなら、サプライズパーティくらいかな。人によっては嫌だったのかもね、それが恨みを買ったんのかも。世の中って怖いね」 春人は少し僕を和ませようとしているのか、怖がらせたいのか微妙なニュアンスで冗談ぽく言う。 「0になったら解るんじゃない」と、笑いながら言った。 僕は少しの不安と、春人の脅しに恐怖したものの、和ましてくれているなら悪いと思いさして気にしないよう笑い飛ばす。怖い話や不思議な話は好きだけど、それが我が身に起こるとなると嫌だな。それが率直な感想だ。 その後、暫く冗談の言い合いをする。そして、春人と別方向になったので、別れて僕は自宅への帰路を辿った。 僕の家は両親が共働きで夜遅くまで働いている。作り置きのご飯と幾らかのお金が常にリビングに置かれているのが日常だ。 寂しいと思うのは中学1年位までで、今は逆にうるさく言われることもないし、自由な生活に喜びすら感じている。 「ただいま」 玄関をあけて帰宅を知らせる。勿論、返事が返ってくることはない。それでも何となく言いたくなってしまう。先ほどの春人の脅しのせいだろうか内心まだ怖い。階段を上って、乱雑に散らかった自室に入る。制服を床に放るようにして脱ぐと、下手着に早々に着替えた。 丁度着替え終わって、椅子の上で落ち着いた時を見計らってか携帯にメールの着信があった。 一瞬、先ほどのことが頭を過る。恐怖心と不安感が入り混じりながらも携帯を開くと新着メールが届いている。 僕は息をのみながら、おそるおそるメールを開くと。
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