誕生の瞬間

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夢を、見た。 白く深い霧の中を一人で進んでいく。 森の中だろうか。霧の隙間に垣間見えるのは緑の木々。進んでも進んでも霧は深いまま。 どこに向かっているのだろうか。 そもそもどうして一人なのか。 立ち止まっても仕方がないので前に進む。 森の奥に向かっているのかそれとも出口に向かっているのかも分からない。ただひたすらに進み続ける。 やがて奥の方に一筋の光が霧を割くように差し込んでいるのが見えた。 その光を目指したのかそれとも吸い寄せられたのかは分からない。徐々に近づく光は霧を晴らすかのように周囲を明るくしている。 光の中心に辿り着くと光の中を見上げた。眩い光の中からとても小さな手がこちらに向かって手を伸ばしている。 懸命に、懸命に。 その手を包み込むように取ると途端に耳元で泣き声が聞こえた。 とても大きな力強い泣き声。 瞼を持ち上げると産まれたばかりの我が子が目の前で泣いていた。
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