最終話

4/35
前へ
/35ページ
次へ
診療所の入り口に、いちおう受付らしきものがあり、 そこに人影はなく、待合室にお年寄りの姿ばかりが目についた。 ファミレスにあるような、 チン!と鳴らす呼び鈴があり、 「すみません!」 と中を覗くように鳴らしてみた。 診察目的ではないのでちょっと恐縮だったのだけど。 「ハーイ!」 と、 元気な声で、受付なのか看護師なのか微妙な制服の女性が現れた。 『葵…?』 一瞬、 錯覚を見たが、 「初めてですかぁ?」 その気さくな笑顔を向けるふくよかな女性は、 葵じゃなかった。 「え、は、はい」 あれ? こんな小さな診療所に二人も受付いるのか? 「今日、山村葵さんは勤務入ってますか?」
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

130人が本棚に入れています
本棚に追加