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診療所の入り口に、いちおう受付らしきものがあり、
そこに人影はなく、待合室にお年寄りの姿ばかりが目についた。
ファミレスにあるような、
チン!と鳴らす呼び鈴があり、
「すみません!」
と中を覗くように鳴らしてみた。
診察目的ではないのでちょっと恐縮だったのだけど。
「ハーイ!」
と、
元気な声で、受付なのか看護師なのか微妙な制服の女性が現れた。
『葵…?』
一瞬、
錯覚を見たが、
「初めてですかぁ?」
その気さくな笑顔を向けるふくよかな女性は、
葵じゃなかった。
「え、は、はい」
あれ?
こんな小さな診療所に二人も受付いるのか?
「今日、山村葵さんは勤務入ってますか?」
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