最終話

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″ケンタくんともあそばない、おとうさんもおかあさんもあまりおしゃべりしない まいにちが続く(つづく)うちに、 ミユちゃんは、 だんだん、 だんだん、 わるい子(こ)になっていきました。 いえでもがっこうでもイタズラばかりするようになり、 そして、 とうとう、 ケンタくんがジュースにまぜてのんでいたおくすりをぜんぶ すててしまったのです″ ……やっぱり 葵らしい物語だな、 これ、 絶対ブラックな童話だろ? 絵も全然かわいくねーし。 事件を彷彿させるその内容を最後まで読むか躊躇ったけど、 今日こそ葵に会うという目的を失った俺は、 【三色のジュース】を最後まで読んでしまうことにする。 ″おかあさんに、 『ケンタくんにおクスリをのませる』 といっては、おクスリのはいっていないジュースをのませて、 ケンタくんも『にがくない』とよろこんでいたし、 いつのまにか、 ミユちゃんはじぶんがわるいことをしているのをわすれてしまっていました。 それから ケンタくんは からだがどんどん わるくなってしまい、 とうとう びょういんににゅういんしてしまいました。 おいしゃさんからも、 ケンタくんの″いのち″がみじかいことをおしえられました。 おとうさんも おかあさんも くるひもくるひも ないてばかり。 このとき はじめて、わるいことをしてしまったとおもったミユちゃんは、 はやしの中(なか)にすんでいるという、 海(うみ)のかみさまに、 まいにち おいのりをするようになりました。 『ケンタがはやくよくなりますように ケンタがしにませんように』″
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