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そんな声でそんなこと言われたら、「うん」って言うしかないじゃない。
どこか悔しい思いでそう返事をすると、悠二は『じゃあ』と言って電話を切った。
そうして消えた電話の向こうの悠二の気配。
なのに、受話器を離すことがなかなかできなくて、なぜか妙に愛しい受話器を胸に抱き、そうやってソファの方に視線をやった。
「迎えに来るって」
ぼそりとそう告げた相手は、攫ってきた悠二のメガネ。
敵みたいに思って攫ってきたそれが、いまは親友のような、そんな風に思えて、胸に抱く受話器同様愛しかった。
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