5人が本棚に入れています
本棚に追加
/282ページ
「今は、私の事を話している時間はありません。彼女のすることに文句があるなら、今すぐ私が斬り伏せます」
仲間の兵士達に向き直ると、穏やかな物腰、けれど、強い口調でリーガルは言った。
「けっ、木偶様に何を言われたって怖くは無いってぇの!」
そう言って、ひとりの兵士が地面に唾を吐いた。
ザン!!
その兵士が、唾を吐いた格好のまま、静止した。
地面に突き立てたオーリーンが石畳を割り、その亀裂が兵士の足元まで伸びている。
「……次に割るのは、その石頭にしましょうか」
あの穏やかなリーガルがこんな事を言うなんて。
私だけじゃなくて、シダーでさえ、1度詠唱を中断して、リーガルに目を向けていた。
「……さあ、チェルシー」
静まり返った広場をぐるりと見渡すと、リーガルはオーリーンを背負いながら私に言った。
「うん……」
さっきのリーガルは、ちょっとだけ怖かった。
気を取り直して杖を地面に突き立てると、私は目を閉じた。
最初のコメントを投稿しよう!