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「あの……私が合図をしたら、残った光の珠を全部割ってもらえませんか?」
「なんだって?!」
もちろん、兵士達は顔をしかめた。
ここにある、残った光の珠は4つ。
それが全部無くなってしまえば、ここにいる人達は身を守るものが無くなってしまう。
闇が訪れれば、それだけ戦いづらくなるのも確かだ。
「お願いします!」
「そりゃあ無理だ!せめてあの魔導師様が今の詠唱を終わらせるまで待ってくれよ!」
見ると、光の珠はちりちりと滅灯し始めていた。
今より遅れると、それだけ光の珠の力が弱まってしまう。
「それじゃあ遅いの!お願い!」
「私からもお願いします」
「ッ!?」
突然肩に手を置かれ、私は飛び上がった。
いつの間にか、隣にリーガルが立っていた。
「ンだよ……デックじゃねえか!いなくなったと思ったらどこに行ってたんだよ!」
「へっ、殺しがイヤで逃げ出したんじゃなかったのか?」
リーガルの事を知っているらしい兵士達が、口々にリーガルを罵っていく。
周りにいる他の兵士達も、リーガルを明らかに見下した様子で見つめていた。
「……リーガル……」
どうして、バカにされると分かっているのに、ここまで来たんだろう。きっと、リーガルは辛いはずなのに。
「平気ですよ……ありがとう」
リーガルは私の心を見透かすように、そう言って笑った。
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