第9章 【鉛の心臓】

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…………ザッ、 走っていた足を止めて身体を反転させ、リーガルはその鋭い氷を刃で受ける。 キン! 綺麗な音がして氷は2つに割れたかと思うと、空気に溶けるように、それはふっと消えた。 ボコッ! 突然、リーガルの足元が抉れた。 蟻地獄の巣のように擂り鉢状になった地面を駆けあがり、リーガルは地表に手を伸ばす。 ……だが、まるで穴に蓋をするように地面がボコボコと持ち上がり、リーガルの体を閉じ込めようと狭まる。 リーガルは助走をつけて土壁を駆け上がると、せり上がってくる壁に刃を突き刺し、間一髪の所で穴から這い出した。 それを待ち構えていたかのように、今度は天から光の円盤が現れた。 それは鏡のように光沢があり、つるりとした表面には、何らかの魔法文字が彫り込まれている。 リーガルを取り囲む、その数は3基。 ザアアアア! 鏡面から出てきた輝く雨が、リーガルの身体に容赦なく降り注ぐ。 リーガルはマントを使ってその奇妙な光の雨を遮ると、既にドーム状になってしまった土の壁を蹴って、高く跳躍した。 一閃。 体を回転させ、再び土壁の上に降り立つと同時に、その鏡面全てが粉々に砕け散った。 リーガルは溜め息をつくと、軽く肩をならした。
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