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異変に気付く間も無く、シダーは後ろから押さえ込まれた。
もんどりを打って転がるシダーの上に素早く跨がると、リーガルは剣の鞘でシダーの首元を押さえつける。
「……ぐッ……」
呼吸のできないシダーの鼻先に。
リーガルは、ぴっと指先を突き付けた。
「……はい、これで“詰み”です」
爽やかな笑顔を浮かべて、リーガルは言った。
鞘を掴み、苦しそうに首を振る。
そんなシダーの様子をニコニコと笑いながら見ていたリーガルは、軽い動作で、鞘を腰に差し直した。
激しく咳き込むシダーを一瞥すると、囮にしていた木の幹から、マントを外しにかかる。
「……さあ、今日はこのくらいにして、ご飯にしましょう」
埃を払ってマントを肩に掛け、イストルランド兵である証となる“四方銀槍”のマント留めでそれを留めると、リーガルは明るく言った。
「待て、まだ終わってはおらん!」
「ダメです」
子供のイタズラを嗜めるようにそう言い、リーガルは眉をしかめる。
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