第1章

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「夏実……。待ってるからね。」 そう言いながら涙目になる友人たちをよそに私は何も声をかけられなかった。 知らなくて無神経な話ばかりしてごめんね? 言ってくれたら良かったのに? 何もできることはないかもしれないけど話くらいなら聞けるからさ? 何を言っても言い訳してるみたいで言葉に出来なかった。 「はー。」 部屋のベッドに寝ころぶと携帯を開いた。 あのメールはこのことだったんだろうな。ごめんね、未来の私。 私は後悔を1つしちゃったよ。 12年経ってもその後悔が消えてないんだよね?だからメールをくれたんだよね? なのに私は……すっかり忘れて。 涙が止まらなかった。 夏実への申し訳ない気持ち。 なんで申し訳ないとか思うのか、それは同情なんだろうか。 同情だとしたら親友に失礼すぎる。 なんで私は後悔を消すことが出来なかったのだろう。いつもいつも後悔する私が12年経ってもしてることならそれはすごく大きなこと。 それくらい分かるはずなのに……。 悔しくて情けなくてどんなに泣いてももう過去へは戻れない。
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