第1章

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「夏実可哀想……。」 「全然知らなかったね。」 そんな友人の会話を聞きながら私は後悔していた。 このことだったんだ。 未来の私が言っていたのは。自分のことばかり話さず夏実の話を聞いてあげてほしい。 夏実のことだから言いたくても話せなかったんだ。 いつも明るくて落ち込まない夏実。強くて揺るがない。 でもそうさせてたのかもしれない。 夏実がどんな気持ちでいたかも知らずに私は毎日お母さんが口うるさいとかそんなことばかり話してた。 どんな気持ちで夏実は聞いていたんだろう。 どんな気持ちで笑って答えてくれてたんだろう。 夏実に会うのが怖かった。 「わざわざみんなありがとね。」 家で私達を迎えてくれた夏美はいつもの明るい夏美だった。少し腫らした瞼以外は。 「ずっと入院してたからこうなることは分かってたしね。少し学校は休むけど大丈夫だよーそんなに心配しなくて(笑)」
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