第1章

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父が食事を進めながらテレビをつけると、朝のニュース番組が流れていた。 『○○県○○市でまたもや婦女暴行事件が発生しました。事件は昨夜未明………』 父『またか、最近はこの辺でも物騒な事件が頻発してきたが連続暴行魔まで出るようになるとは…。』 母『本当に世も末ですね。この前は隣街の娘さんが被害にあってますし…早く捕まってくれるといいんだけど…』   父と母がニュースの内容について話合っているようだけど、私にとっては関係ないことだから聞き流した。近いって言っても実感ないし、人が多い所を歩けば問題に合わないと思う。 それより天気予報の方が大事だ。 今週末は私が所属する野球部の練習試合があって、天気によっては中止になってしまう。 野球部と言っても私は選手ではなくマネージャーなのだけど。 選手の健康管理や天候によっては準備しなきゃならない物が沢山ある。 ただでさえマネージャーの仕事は山のようにあるのに。 洗濯やボール磨き、選手のコンディションシートの記入に管理、部員の水分補給の準備。資材や器具の在庫管理や掃除、相手チームの情報収集や監督からの雑用等々まさに山盛り。 始めた頃は汚い、臭い、キツいの負の三連コンボで逃げたくもなったけど、皆から感謝されて、頼りにされてたら辞めるにも辞めれなくなってしまった。 実際、私を誘った友達や同級生は全員辞めてしまったから続けないとマネージャーの仕事を教えてくれた先輩方に申し訳が立たない。   『暴行犯は複数いると見られ、被害者の回復を待って事情を………』   朝食を食べ終えた後もニュースは終わらず、事件の詳細や被害件数などを読み上げ続けていた。 もう出発しなきゃ準備に問題が出る時間なのに。 原稿を読むキャスターには罪がないと、わかっていても八つ当たり気味に見てしまう。 結局、天気予報を諦めカバンを持ちって玄関に向かう。 窓の外は未だ真っ暗。時刻は5時をちょっと過ぎたぐらいの時間になる。 決して学校が遠い訳じゃなく、朝練の始まる30分前には登校して準備しなきゃマネージャー業は務まらないのだ。 この早起きによってマネージャーを辞めた人も多いと先輩は言っていたけど…あながち本当なのかもしれない。私もかなり辛い…。   でも… 凄く大変でキツいけど、私は凄く充実していると感じている。 …誰かから頼りにされるのって嬉しい、必要とされてるって実感できるから。 
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