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「みさき…」
成川の声がして、自分が寝ていたことに気がついた。
あれ?俺寝ちゃってたのか。
時計をみると、もう1時間も過ぎていた。
周りをみまわしても、先生がいない。
いつまで電話しにいってんだか。
それにしても、さっきの みさき って誰なんだろう。
少し苦しそうな顔をしている。
「ごめん…」
なにがごめんなんだ?
もしかして、彼女と別れたとか?
みさきって子となんかあってあやまってるってことは、成川が原因?
なーんて、何。俺。
「大丈夫か?」
一応声かけてみたり…
でも先生がいなくてよかった。付き添ってろって言われたのに、寝てたなんてばれたらやばい。
「ん…あれ…」
あ。
成川が少しずつ目をあけた。
「大丈夫かよ」
「あ…まあ。俺…なんで…」
わかってないのか。
「お前授業中に倒れたんだよ」
「あー…」
「俺に担がれて廊下歩いただろ?」
「へぇ」
へぇって…
わかってなかったのか。
「なあ みさきって誰?」
重かったのにわかってないとかないわー。
だからちょっと意地悪してみたんだ。
「…みさき…は…俺のせいで…」
俺のせい?
「なんだよ」
「もう歩けない」
は?歩けない?
「友達?女?」
「男。でもなんで三崎のこと…」
「お前が寝言で言ってたんだ。みさきごめんって」
「……」
歩けないとかどういうことだ?
「それって倒れた事と関係あるのか?」
成川は、ゆっくりと話してくれた。
「入学式の日さ、三崎と待ち合わせてたんだけど、俺が遅れて行ったせいで、あいつボコボコにされてて…俺が間に合ってればあいつは…」
それって…
「俺たちが誘ったせいか」
「違う。待ち合わせしてたのは、そのずっと後。」
「ボコボコってなんだよ」
「ちょっとね」
「で、お前が倒れた原因は?」
「あー…たぶん寝不足」
本当か嘘かはわからない。
でもきっと何かがあって、こうなったことには間違いなさそうだ。
「あら、中村君起きたのね」
げっ。
先生が保健室に入ってきた。
「ずいぶん遅かったんすね」
「何言ってんの。中村君まで寝てたから、寝かせてあげたんじゃないの」
マジか。
「ありがとうございます」
「高くつくわよ」
「まじっすか」
「えぇ。楽しみにしてるわ」
「はいはい」
保健室の先生は、俺の兄貴の彼女。
きっとまた兄貴絡みで手伝わされるんだ。
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