12人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
なんだ？ここは？
俺は自分の部屋で眠っていたはずだが……
それがなぜか、今いるこの場所は薄暗い見知らぬ部屋だ。俺があたりを探ろうと腕を動かすと……
ジャラッ！
腕が重い。何か鉄のようなものが自分の手首に巻きついているような感触がする。そして地面が揺れているような浮遊感がある。
よくよく耳を澄ますと遠くに波の音が聞こえた。それで俺は気付く。ここは船の中だ。自分は海の上にいるのだと。
特に自分が夢の中にいるという感覚は無い。言ってしまうなら、めちゃくちゃリアルだ。この匂いといい、波の音といい……
【海賊GAME】が開始されたのだろうか？
ジャラッ！
不思議なのはこの手首に巻きついた鎖である。足首にも鉄を巻きつけているような違和感がある。
俺は自分の手首を見た。案の定、ごつい、手錠のようなものが俺の腕を拘束していた。
「なんだ、こりゃ？俺、海賊じゃないのかよ？」
手首を拘束する手錠を見て、俺がボソリと言うとすぐ近くで声がする。
「馬鹿か？お前は。俺たちゃこれから奴隷として売られるんだよ」
奴隷？なんだ、それは？それにこの声は誰だ？
「誰かいるのか？」
「へっ？今さら何言ってるんだ？お前は？」
先ほどの声の主は半笑いで言う。
そして他の場所からも笑い声が聞こえた。
えっ？今、違う場所からも失笑のような声がしたような……
ようやく薄暗い部屋に目が慣れてきた。よくよく周りを見ると薄暗く狭い部屋には何十人もの人間がいる。
「お前、大丈夫か？恐怖で気でも狂ったのか？」
先ほどの声の主が俺に言った。
やばいな！ストーリーが分からない。もっとゲームを始める前にHELPを読んでおくべきだったかな。
「いや、何でも無い。ちょっと寝ぼけたみたいで……」
俺は適当に言ってみる。所詮、相手はゲームのキャラクターだ。そう気を使うことも無いだろう。
「寝ぼけてたって？よくお前、この状況で眠れるもんだな？」
声の主は、俺と同じぐらいの年齢だろう。俺の横二メートルぐらいの所に座っている。
「この状況って？」
俺は聞いてみる。すると相手は一つため息をついてから説明を始めた。
最初のコメントを投稿しよう！