第2章 ゲーム開始

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いったい、どうしたというのだ!? あの慌てようはただごとでは無い。町を歩いていてライオン?いや、恐竜にでも遭遇したかのような驚きようであった。 しかし、俺としては助かった。あんな大男に剣で頭をカチ割られるところだったのだ。いくらこれがゲームの世界と分かっていても気持ちの良いものでは無い。 「お、おい?大丈夫か?お前……」 ムンクは心配そうに声をかけてくる。 「ああ、何があったか知らないが、助かった」 「馬鹿、ブルグンをあんなに怒らせちまったんだ。戻って来て殺されるに決まっているだろう」 確かにそうだ。このまま何事も無かったかのようにはならないだろう。 なんにしても忌々しいのはこの手錠だ。マンガやドラマに出てくるような洗練されたものとは違うゴツくて荒いつくりだ。 俺が、手錠から手首が抜けないかとむやみやたらに動かしていると上着のポケットに何かが入っている事に気付いた!! これは…… これはあれでは無いか? ……俺のスマホだ。 ……………これ以上無いほどに気分台無しである!! 今、俺が着ている服はファンタジーゲームに出てくる、村人Bが着ていそうな、なんの変哲も無い麻のボロキレのような衣装だ。 この服装のおかげで、いかにも海賊のいそうな……よくは知らないが中世のいつかに迷い込んだような感覚を覚える。 ……なのに……なぜ、ここでスマホ!? 俺は猛烈にこのクソゲーに腹が立ってきた。 先ほどブルグンに頭をカチ割られる事を恐れた自分が……そこまでこのゲームにのめり込んだ自分が恥ずかしい!! 俺はとにかくスマホの画面を見る。 ________________ PLAYING……  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ と表示されている。プレイ中という事か? 俺が試しに画面を操作してみると…… 画面が変わった。メニュー画面のようなものが出たのですぐに「HELP」を開く。 俺が知りたいのはアレだ!!あのゲーム・バランス最悪の裏技!その名も「オーバー・ヒート」。 ステータスが全てMAXになるという、人を馬鹿にした特殊能力だ! それを使ってあのデブ海賊をぶっ飛ばしてやる!!
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