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いろいろ武器を選んでいる俺は思う。
「なんだ?みんな少し短いんじゃ無いか?もっとこう……」
俺は両手で剣を振るうポーズをした。ファンタジーには詳しく無いが、バスタード・ソード?とでも言うのか。なんかでっかい剣の方がかっこいいような気がする。
「やっぱ、お前、馬鹿だな。船の上の戦闘で武器と言えばカトラスに決まってるだろ!?」
自分の武器を品定めしていたムンクが、さも人を馬鹿にしたように言う。
「オーバー・ヒート」を発動したらブルグンを倒す前に、こいつをやっつけてやろうか!?と俺は内心で思う。
「なんだ?カトラスって?」
俺のその言葉にムンクは目を丸くした。まだ言葉を話すはずの無い産まれたての赤ん坊がいきなり「天上天下唯我独尊!!」とでも叫んだかのような驚きようだ。
いかんな。びっくりしすぎて説明もしてくれない。
「……なんですか?カトラスって?」
俺は少しへりくだりながら聞いてみる。
「この武器の事だろう。船の上で戦う者は、その戦場が狭い船倉などに移るかもしれない」
「ふん、ふん」
「だから長い得物(エモノ)は御法度だ!常識だろう……」
ムンクは心底信じられないとの表情で俺の顔を見る。その瞳には憐れみさえ伺える。
クソゲーがっ!クソゲーがっ!クソゲーがっ!
ゲーム・バランス最悪のくせして、変な所でリアル追求すんなよっ!!
ほんとクソゲーだなっ!!
「うんっ?」
俺はボロボロの武器の山の中に一本だけ、黒く鮮やかに光る剣を見つけた!!
なんだ?まだ綺麗なのが残ってるじゃねえか?
俺は、柄の部分と言うのか?持ち手の部分を握る。かなりしっくりとくる!!
刃の部分はまだ武器の山の中に埋まったままだが、このガラクタの中には、もうこれ以上の剣は残っていないだろう。
俺はその怪しく光る美しい剣をガラクタの山から引き抜きながら言う!
「よし、俺はこれにしよう!!」
……
…………
………………
……
泣いていいだろうか?信じられない事が起きた。
俺の引き抜いた剣がなんと、綺麗に曲がっているのだ!!いや、少し曲線を描いているというレベルでは無い。
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