第3章 海の悪魔パウル・ハウゼン

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俺とムンクが船の甲板に出るとそこは大変な騒ぎになっていた!! マストは折れ、床のところどころが破壊されている。 どういう事だ?何が起こったんだ? 俺がキョロキョロと周りを見回していると、ムンクは海の遠くのある一点を見つめていた。 「なんだ?何かあるのか?」 俺はムンクにつられて同じ方向を見る。 んっ!?遠くに何か見える!!あれは船か? 「ムンク。なんだ、あの船?あの船がなんかやったのか?」 「……」 俺は聞くがムンクから返事は無い。 「ムンク。あの船はなんだ?」 聞こえなかったのかと思い、俺はもう一度ムンクに聞くが、しかしムンクは返事をしてくれなかった。 「ムンク?」 俺は遥か向こうに見える船から目線を外し、ムンクを見る。 「ど、どうした!?ムンク!!」 俺はビックリする。ムンクは真っ青な顔でガタガタと震えているのだ!! 「ムンク?大丈夫か?」 「や、やばいよ。あれは……あのジョリー・ロジャーはパウル・ハウゼンだ……」 へっ? ……ジョリー・ロジャーはパウル・ハウゼン? 「どっちが名前だよ?」 「違うわ、ボケ。『ジョリー・ロジャー』って海賊旗のことだろうが!?」 海賊旗?そうなのか?海賊旗の事をジョリー・ロジャーっていうのか? つまりあの船には海賊が乗っている訳だな。 「では、この船とは同業者だ」 「どこまでおめでたいんだ、お前は!?あの船に襲われてるんだよ。ブルグン達は」 何?海賊が海賊を襲うのか?同業者なのに? ムンクは相当に目が良いようだが、ようやく俺にもそのジョリー・ロジャーが見えるほど、その海賊の船は近づいてきた。 俺の海賊旗という言葉から浮かぶイメージは、髑髏の下に骨でバッテンというような絵であったが、そのパウル・ハウゼンの海賊旗は違った。 その模様は、髑髏の下に五体がばらばらになっている人間の絵であった。不吉な事この上ない。 「そのパウル・ハウゼンとやらの何がやばいんだよ」 俺の言葉にムンクは一瞬言葉を失う。 「お前?あの……海の悪魔と恐れられるパウル・ハウゼンを知らないのか!?」 「残念ながら……」 俺は頭をポリポリかきながら照れ笑いをする。
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