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物心ついた頃から切り刻みのサムと呼ばれ、今年で20年以上がたっていた。
そんな中で笑われたことはあっても、笑いかけてもらうことなんて、今まで一度もなかった。
今日のこの時までは。
大泣きしていたはずなのに、赤ん坊の顔はしっかりと俺の顔を見たまま微笑んでいた。
笑っていた。
きっとこの顔こそが【満面の笑み】というのだろう。
遥か遠くから、パトカーの音が聞こえた。
きっと銃声を聞いた近くの住民が通報したのだろう。
逃げなくては。
今も俺に笑いかけている赤ん坊を、タオルケットごとくるんで俺はその部屋を後にした。
これが、この出会いこそが、強盗兼殺し屋として生きてきた俺を大きく変えた出来事だった。
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