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「リオ」
俺は拾ってきた赤ん坊にそう名付けた。
赤ん坊と出会った時に一緒に持ってきたタオルケットに、【RIO】と名前が記されていたからだ。
そのタオルケットは上質な素材でできており、きっと腕の良い職人が丹精込めて縫ったものだとわかる、とても素晴らしいものだった。
俺がこの子から両親を奪ったのに、その両親がつけた名前をそのまま名付けるのはいかがなものか、とも思ったが、この子には両親との思い出がまるでないし、女の子の名前など俺にはさっぱり思い浮かばなかった。
それでもリオはすくすくと育ってくれている。
きっと赤ん坊にしては珍しく、リオはあまり泣かないしぐずらない子だ。
出逢った晩、あんなに泣いていたのは両親がこの世を去ったことを悟ってなのだろう。
そう思わせるくらい、リオは泣かない子だった。
初めこそ、ミルクをやったりオムツを変えたり、全く未知の子育てというものに苦労したが、一月もたつと徐々に慣れてきた。
飼っている山羊の乳をリオに与え、こなれた手つきでゲップをさせる。
オムツは以前入った材料店で奪ってきた布をいくつにも切り、汚れるたびに洗濯をしていつも綺麗なものに変えている。
元々手先は器用だし、身の回りのことはずっと一人でしてきたため、困ることは何もなかった。
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