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ケイサツカン、というやつらだろう。
白い息を吐きながら、どうやらこの辺りを見回りしているようだ。
この辺りを見回るなんて、なかなか勘がさえている・・・が。
俺は誰にも捕まらない。
きっと俺は普通の人間ではないから。
そっと隠れていた車の陰から顔を出し、再び用心深く周囲の気配を察知する。
ただ、雪のふる音と俺の息遣いだけが聞こえてくる。
再び頑丈そうな扉の前に立ち、取り出した二本のピンを使って、神経を指先に集中させた。
再びあいつらがここに見回りに来た時には、きっと俺は遥か彼方に逃げた後だろうと思いつつ。
鍵の開く、確かな手ごたえがピン越しに伝わってくる。
いつもの感触。いつもの手応え。
五つも鍵穴はあったが、ものの三分程で全ての鍵穴から手応えがあった。
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