第1章

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数時間前、私は彼氏と別れてきた。 理由は、とても単純だ。 デート当日、待ち合わせ場所に、約束の時間より早くついて街中に目を向ける。 その先に、反対側の歩道を、他の女性と腕を組んで楽しそうに歩いている彼氏を見つけてしまった。 無言で携帯を取り出し、彼に電話して、席を移動する。 視線の先には、私からの着信音に挙動不審な彼。 私から彼が見えるけど、彼からはこちらは見えずらい位置にいた。 相手の反応を見ていると、コール音が途絶えた。 彼は電話にでることなく、着信をきって隣の彼女と歩き出した。 二人並んで遠ざかる後ろ姿に、私の愛も消えてしまった。 耳元から携帯を離し、彼にメールを送る。 「別れましょう。私と今日のデートより、新しい彼女と楽しんでね。さよなら」 送信した後で、彼のアドレスも消去する。
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