古典

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荷物を置きに行った木下の背中を見ていたまま眠りに落ちたため、左に頭を傾けていたせいで窓から差し込む光が眩しく俺は顔を腕の中に埋めた。 ぼんやりとした意識の中、木下が動いているのを感じた。 さっきと同じ俺の前の席に座ったようだ。その動作の一つ一つから大きな音をたてないようにと気づかいが伝わってきた。 別に嫌なわけじゃないけど、そんなに気を使うのならわざわざこっちに来なくてもいいのに、と思った。 完全には寝付かずうとうととしていたら、木下がそわそわとしているのに気づいた。なんとなく気になる。 頭の上らへんが気になって腕を伸ばした。手にぶつかったものをそのまま掴んだ。掴んだ感じから木下の腕だろう。こんな頭上に腕があったから気になったのだろう。 「木下、なんかうるさい」 出来ればこの朝の時間は邪魔させたくない。 「ごめんねっ、奏叶」 ちょっと焦った感じで謝罪が返ってきた。 「…うん」 別にそんなに謝られることもない。わかってくれればいい。 カクン 眠すぎて一瞬体から力が抜けた。思わず掴んでいたものにすがりついた。 眠くってそれが何かなどとはどうでも良かった。 うつらうつらしていたら、ふわっと頭に手が乗ったのがわかった。優しくその手が俺の頭をなでる。 「奏叶、」 落ち着いた声が俺の名前を呼ぶ。 「……何?」 「……ううん、何でもない。 おやすみ」 「……おやす、み」 この場の雰囲気やなでる手、全てが心地よくて俺はそのまま眠りに落ちていった。
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