古典

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ガラッ ドアのスライドさせる音がして、誰かの足音が近づいてくる。 多分あいつだろう。 「おはよ、寝てるの?」 いつもにこにこしてて、「一緒に行ってもいい?」と言ったきり何も話さなかったあいつ。 「………寝てる」 「なんだ、起きてるんじゃん」 「木下のせいで起きた」 「そっか、ごめんね」 そう言って木下は俺の前の席に腰をおろした。 俺は上体を起こし右手で頬杖をついた。さりげなく左腕で机の文字を隠しておく。 壁に背をあずけスマホをいじる木下 灯(きのした ともる)。 それだけでなんか様になっている。こいつと出会ってこんなに完璧なやつがいるんだな、と思った。顔も良いしスタイルだって良い。スポーツも出来るし、勉強だって出来る。 逆にこいつの出来ないことってなんだ? 俺の視線に気づいた木下がこっちを見た。 うん、やっぱりかっこいい。人間皆平等とかゆうけど、やっぱり不平等だよなーと思った。
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