太陽のキモチ。

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◆◇◆◇◆ 「様子くらい見とかないとねー」  一人ぽてぽてと第三部隊の隊舎を歩く男、シン。  いつもはブラックをからかってばかりいるが、それなりに心配はしているらしい。  サラの部屋へと到着してノックをするかしないかと迷っていると、勢い良くドアが開いた。  すんでの所で飛びのいたおかげで顔は打ち付けていない……が。 「サラ、ちゃん?」 「――ぁ、シンさん……ッ!」  ドアのすぐ傍に立っていたシンを真っ赤な顔で見たサラは、そのまま駆け出した。  呆気に取られる彼に何を言う事もなく、胸元の衣服を抱き寄せて。 「な、何だぁ?」  乱れた着衣。真っ赤な顔。  そして、僅かに高ぶっていた呼吸。  一体彼女に何があったのか。  恐る恐る部屋を覗き込み、シンはため息を吐いた。 「また失敗かこのヘタレめ」  酔い潰れ、大の字で寝こけているブラックの姿を見て。  余程幸せな夢でも見ているのだろう。その表情はにへらと笑っている。  真っ赤な顔でこんな状態のブラックから逃れたサラ。  ブラックはやはり妖精になりそうだ。 .
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