危ない奴

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「しかし、同じ大学っても学部が違うと会わねぇもんだな」 「経済学部と医学部じゃ棟が違うしね」 仲がいいと言っても俺とは比べ物にならないくらい頭の出来がいい渚は、大学でも一番偏差値の高い医学部にいる 逆に俺のいる経済学部は一番偏差値の低い学部だったが、それでも試験はギリギリだった 「でも経済学部って、なんかヤバイ奴いるらしいじゃん?」 「ヤバイ奴?って、誰のことだ…」 不良やヤンキーなんかはそれなりにいるし、医学部と比べればヤバイ奴の一人や二人はいるだろうが… 「ヤンキーとかじゃなくてさ、クスリ。ドラッグだよ」 渚の話では、どうやらそいつは自分がドラッグにはまるだけでなく、大学の学生にも勧めては売りつけているらしい 「噂程度にしか聞かないけどさ。頭悪そうなの狙うらしいし、気をつけなよ」 「いくら馬鹿でも薬には手出さねぇよ」 ニヤニヤと馬鹿にした笑いを浮かべる渚の足を軽く蹴って、この話はこれでおしまいと言うように渚がパンと手を合わせる 「このあとボーリング行かね?他の奴等も声かけてさ」 俺の答えを待たずに携帯に手をかける渚に、拒否権ねぇのかよと文句を言いながらも、今日は千尋がいないということもあって何となく家に帰る気にもならなかったので、その提案は有り難かった 電話片手にもう二次会の場所を話し合っている渚に呆れながらも、久しぶりのメンツとボーリングに柄にもなく胸を躍らせた
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