第2章 俺の話

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「どうした そんな顔して」 西岡君は わざと惚けたような顔をして 俺の顔をニヤニヤと見てきます 本当に西岡君は悪趣味で酷い人です 人の苦しむ顔を見て喜ぶなんて 俺はその事に気づき 絶対に 涙なんか見せないようにとムキになって 顔を背け続けました それが気に入らなかったらしい西岡君は 俺の顎をグイッ!と掴むと強引に西岡君の方に 顔を向かせてきました 「………何だ まだ泣いてなかったのか さっさと泣けばいいのに」 …………やはり西岡君は俺の辛い顔が 見たかっただけです とんでもない茶番でした 初めから俺の性器に触る気なんて 毛頭無かったんです 俺は悔しさのあまり グッと唇を噛み締め 目頭に溜まっていた涙を溢さないように ギュッと目を瞑りました 「…………………」 西岡君は そんな俺の顎を撫でながら 何か思案しているのか 黙り込んでしまいました あまりにも長い沈黙が続いたので もしかして怒っているのではないかと おずおずと目を開けてみると 「んんんんぅぅっ」
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